EPISODE 8 「アナーキズム」


イマジン(Imagine)
想像。


ジョンレノンの唄である。
僕もビートルズは聴いた。
けどファンとはいえないし、
ジョンレノンの曲も有名なものしかしらない。
僕の音楽の嗜好は脈絡がないことはことわっておく。
とにかく、
ジョンレノンのイマジンを聴いた時のことだ。
想像してみた。
『政治、宗教、戦争のない世界。
絵空事だといわれようが、そう思う人が集まれば世の中は変わる』
なんてアナーキーな歌詞なんだろう。
パンクの極みだ。


60年代から70年代のロックは時代を映し、
思想的な背景を持ったものが多く出た。
ロック時代のルネッサンスだ。(評論家でないのでただのイメージ)
僕は英語の唄を聴いては歌詞カードを追い、
意味を調べた。
僕もホンモノっぽくなりたかったから。
そのうち唄だけでなくヨーロッパの詩人を読み、さらに西洋哲学に触れた。
東洋哲学をあまりしらないまま、ゴータマブッダに関心が移る。
同時に西洋で起こるアナーキズム(無政府主義)、ユートピア思想を知る。
ヒッピーより早くその考え方はあったらしい。
アナーキズムもいろいろあるが破壊の上に成り立つとか過激に捉えられがちだが
要は今の生活様式をなくして
ゼロから「原始共産民主社会主義人民共和国」みたいなもんを創ろうとしたということだろうか。
もう忘れた、調べなおさず書くからうやむやだが
それを実践するコミューンを創った人がいた。
1800年代の思想家だったと思う。
見事に失敗、その原因は、結局のところ、
近代の人々は「政治」「法律」がないとまとまれず、自律できない。
娯楽がなくなりつまらなくなる。
もし人々がブッダのような個人だったら、
仏教徒ではなくブッダ本人のように「よく知るひと」になろうとするひとばかりなら、
出来たかも知れない。


ヒッピー時代がくると、
アメリカではコミューンがたくさんできた。
ある映画のなかでコミューンで育った若者が正反対の大人になって、
コミューンにいた子供時代を「僕もハンバーガーを食べたりテレビを見たかった」
と振り返る台詞があった。
ヒッピーのコミューンもユートピアにはなれず、終わっていく。
イージーライダーの二人も馴染めずに出ていくくだりがある。
僕は日本にいて、子供だったから事情はわからなかったが
髪の長いお兄さんにあこがれたもんだ。
自分が成長して迎えたのは70年代後半、
80年代に入るとそれを否定するような時代になっていた。
今考えるとそれもそう長くは続かなかったが、
当時の生きにくかったことはいい反動になった。


ずっとヒッピーのようでいたかった僕はアナーキズムを知ったり
ヒッピーの現実を知るようになって
新しいことを探していた。
ヒッピーはインディアンに影響を強く受けている。
インディアンはかつて
「宗教、政治、法律もない状態でバランスをとってすべてと共生していた」からだ。
それを真似しようとして出来たのは閉鎖的で「自律」のためにお互いの価値観を監視しあう
息苦しい社会だった。
時代、民族性が違うせいもあるがインディアンはそこまで窮屈にはしない。
一番大切な「バランス」がとれている。
ヒッピーは、それはそれでいいが、
インディアンになろう(入れてもらおう)と思うきっかけのひとつの話だ。



EPISODE 9「スティーブ」