「マンドーケーキ(笑?)」
アーマンドはマンドーと呼ばれてた。
メキシコ系テキサス人で貧乏学生。
色白、金髪、グレイの目、要するに白人だ。
いつもふらふらしていてたいてい町にいると出会った。
その頃僕はバズのお姉さんの家にイソウロウしてた。マンドーはそこにルームメイトでいたんだ。
朝、家を出て用を足す。たいした用じゃないからすぐ終わる。
すると、別々に家から出かけたマンドーにまた会う。
僕より若いマンドーはアメリカ人で、当然アメリカでの生活にかけては先輩だ。
僕はアメリカでは赤子同然のはず。
ところがマンドー、僕をまるで先輩のように、
これからの自分の生き方について意見を求めてくる。
自分で見つけるものだから答えられるわけがない、お互いに解ってる。
でも、マンドーは若く、真剣だった。
あのころのマンドーは自分のアイデンティティが揺らいでいた。
若さゆえ、ふつう気にしないことを気にしていた。
それにネイティヴピープルの土地で儀式を受けたりしてたから、
ネイティヴピープルの強さを見てるとこっちが揺らぐのは僕にとっても同じだ。
『おれは侵略者だし、メキシコ系テキサス人、
メキシコのもとをたどると御先祖さんはスペインのバルセロナから来たんだ。
おれは自分が誰なんだかわからなくなる。
きっとバルセロナに行けば何かはっきりするような気がする。』
僕と同じようなことを言っていた。
僕はそれ、日本人にとっての「縄文」を探しにインディアンのところに来ている。
マンドーと僕は時間を共にすごし、珍道中の冒険にも出かけた。
ある時期を一緒に成長した兄弟だ。
あとあと話に出てくるだろう。
マンドーは今、コロラドのテレビ局で働いている、と思う。
ここ数年マンドーにも会ってないが、希望どおりの仕事についたんだと思う。
きっと立派な社会人になってるんだろう。